はじまりはミステイク
私といた時だって、笑ってくれたりしていたのに、今じゃムスッとした顔しか見せてくれない。
あの子のポジションが羨ましい。
もしかして、紹介された女の子とか?
良い感じになってるとか?
考えたくないことが頭にポンポン浮かぶ。
「あっ、芸術鑑賞って美○と野獣じゃん。ミュージカルだって」
一華ちゃんの言葉にハッとした。
「嘘!?楽しみっ」
そして、ミュージカルが始まった。
しばらくはミュージカルに見とれていたけど、ふとした時やラブシーンでは、自然と藤山に目が向いた。
こういう素敵な恋がしたい。
そんなことを思いながら。
そして、途中休憩になった。藤山の隣の女子達が席を離れた。
「一華ちゃん、ちょっと行ってくる」
「分かった」
それだけ伝えて、藤山の元へ急いで向かった。
「失礼しますっ」
どかっと藤山の隣の空席に座った私。
「え、なんで……」
「逃げるから来たの。悪い?」