はじまりはミステイク



藤山の反対隣にいたマツと目が合った。目力で2人きりにしてくれる?と強く訴えると、即席を立って会場を出たマツ。


「今度は何?」


呆れたように言う藤山。


「何もない。藤山の顔を見に来ただけ」


「へ?」


拍子抜けしたらしい藤山の声は裏返った。


「それと、お願いがある」


「お願い?」


「今度、いつが部活休み?」


「なんで?」


「話がある。それさえ聞いてもらえたら、もうこんな風に話しかけないし、ラインもしない。会って避けられても気にしない」


少しの間があったけど、藤山が口を開いた。


「明後日、部活休み。放課後なら大丈夫」


「よし!絶対だから!藤山の教室に行くから帰らないでねっ」


それだけ伝えて自分の席に戻った。一華ちゃんの姿はないけどトイレにでも行ったのかな?


そう思いながら、やっと出来た藤山との約束の日を噛み締める。



< 213 / 246 >

この作品をシェア

pagetop