はじまりはミステイク
藤山の反対隣にいたマツと目が合った。目力で2人きりにしてくれる?と強く訴えると、即席を立って会場を出たマツ。
「今度は何?」
呆れたように言う藤山。
「何もない。藤山の顔を見に来ただけ」
「へ?」
拍子抜けしたらしい藤山の声は裏返った。
「それと、お願いがある」
「お願い?」
「今度、いつが部活休み?」
「なんで?」
「話がある。それさえ聞いてもらえたら、もうこんな風に話しかけないし、ラインもしない。会って避けられても気にしない」
少しの間があったけど、藤山が口を開いた。
「明後日、部活休み。放課後なら大丈夫」
「よし!絶対だから!藤山の教室に行くから帰らないでねっ」
それだけ伝えて自分の席に戻った。一華ちゃんの姿はないけどトイレにでも行ったのかな?
そう思いながら、やっと出来た藤山との約束の日を噛み締める。