はじまりはミステイク
「圭吾くん、好きになってくれてありがとう」
圭吾くん、好きだったよ。
私の片思い、さよなら。
「バーカっ」
圭吾くんからのデコピンを喰らった私。ちょっぴりヒリヒリする。
「痛いんですけどっ」
「わっ、赤くなってんぞーははっ」
この笑顔が誰かのものになっちゃうのは、少し寂しい気もする。それでも、私が好きになった人。
どうか、いつまでも笑っていてね。
そして、休憩が終わり第二部が始まった。ラブシーンあり戦いのシーンもあり、面白さもあり切なさもあり。ミュージカルの面白さも物語の深さも歌と言葉で奏でられる。
「すごかったね」
「やっべ、涙出そうだった」
「私泣いたよー」
「鼻水ズルッズルだったもんな?」
「う、うるさいっ」
圭吾くんと言い合いながら席を立つ。各自で学校に帰るため、一華ちゃんと竜くんと合流して学校へ向かった。
帰りは藤山の姿は見かけなかった。
もう、見つけようとしなかった自分がいた。