はじまりはミステイク
❤︎その笑顔は他の子に見せちゃダメ
「長い……」
芸術鑑賞の翌日。私は嘆いていた。
「一華ちゃん、まだ1時間目の授業しか終わってないよね?」
「うん。まだまだ授業はあるよ」
一華ちゃんの返事を聞いて、大きなため息をつく。
「明日の放課後が待ち遠しすぎる。もういっそ、今日が部活休みになればいいのに!」
「そんなこと言わないの。ほら、次の授業始まるよ」
一華ちゃんの言葉通り、チャイムが鳴った。
始まった授業は、数学だ。
教科書をパラパラっとめくる。
あっ、この公式前解いたやつだ。そうだ、たしか藤山と勉強した時だ。
『これはこうやって解くの。ほらやってみて』
なぜか私よりも公式に強くて、応用みたいで解けるーなんて解いて、それで私が理解して解けるまで説明して付き合ってくれた。
あんなに根強く、そして真剣に勉強を教えてくれるなんて思ってもみなかった。