はじまりはミステイク
グイッと右手を引っ張られ、見知らぬおじさんとの距離は開いた。
「わっ、藤山」
「おまたせ」
返事をしたのは藤山だった。そんな私達の様子を見たおじさんは、そろーりと逃げて行った。
「ねぇ、こういう場面って、チャラ男に声かけられるんじゃないの?」
「藤山のお兄ちゃんみたいな?」
そうそう、と笑いながら返す藤山。
「でも、あのおじさんが持ってた紙、子供達のボランティア活動的なやつだったよ」
「あ、そうなの?てっきり夜のお仕事かと」
「私もそれだと思ったよ」
2人で顔を見合わせて笑い合う。
「でも、助けてくれてありがとう」
「そりゃ、彼氏ですから」
サラリとそう言った私服の藤山。7分丈の白のUネックTシャツに紺のジーパン。シンプルなブレスレットしててラフで……カッコイイかも。
でも、Tシャツの左胸元にクマさんいるんですけど!