はじまりはミステイク



こんなに近くてちゃんと見るのは初めてかも。


「似合ってるね、剣道着」


「へへ、ありがとう。でもまだ変な感じだよ。新鮮だけどな?」


ニコッと笑う圭吾くん。


その笑顔、本当に好きだよ。


「なぁ。今日見に来たのって、俺目当てじゃねーよな?」


圭吾くんの問いにぎこちなく頷く。


「うっわ、聞かなければよかったぁ。こりゃショッキングだって!」


「ご、ごめんって!でも、圭吾くんも見るから頑張ってね」


「マジか!よーし、頑張っぞー」


ふふ、笑っちゃうな。


そう思った時だった。




「お疲れ様です」


そこへ姿を現した、藤山。


私の心臓は一気に高鳴り出す。


「おう!藤山お疲れ!」


「お、お疲れ様……」


私も声をかけたのに私の方は見ず、微妙に圭吾くんの方を向いて頭をさげる藤山。




ム、ムカ。



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