はじまりはミステイク
「お邪魔でしたか?」
「もー空気読めよな、藤山ぁ」
圭吾くんが藤山の肩に手を回して冗談を言う。
「ははっ、次から気をつけますね」
何よ。
圭吾くんとだけ話しちゃって。
お前は男好きなのか!?
ムカムカした私は、怒りを抑えられず言葉を発した。
「ちょっと!私もいるんですけどっ」
訴えるように藤山に向けて放った言葉だった。
私のことも視野に入れてよ。
私のことも……ちゃんと見てよ。
「……あー、ごめん」
ほら、またそうやって目をそらす。
「ヤキモチ妬くなよー。天木の相手もするからな?」
雰囲気が悪くなったのが分かったのか、圭吾くんが茶化しながら私の頭を撫でる。
「や、妬いてな」
「じゃあ、俺先に行きますね」
そして、藤山はそそくさと武道場へ入っていった。