はじまりはミステイク
「藤……」
「じゃ」
そのまま中に入っていった藤山。
「あまりって言ってくれたぁ……」
嬉しすぎた。
久しぶりに聞いたから。
嬉しすぎた。
自然に言っていたような感じがしたから。
ポロポロポロポロ
校舎を後にしてからも溢れる涙は止まらない。
藤山のたった一言で私の感情はすぐに左右されてる。
いつからだろう。
藤山の言葉が嬉しくなったのは。
いつからだろう。
藤山に会いたいと思うようになったのは。
「明日なんて来るなぁ……っ」
夕焼けに染まる空を見上げて声を張り上げた。
藤山と終わりたくない。
藤山と……
そう思ったら体が動いていた。
走り出していた。
向かった先は、武道場。
もう一度だけ、藤山と話したい。
もう一度だけ、藤山に会いたい。