はじまりはミステイク
「大丈夫だよ。それより、そっちこそ大丈夫なの?」
「え?」
もしかして、私の心配をしてくれてるの?
「チャリ」
「え″。チャリ?」
振り返ると、あたしの愛車ならぬ愛チャリは道路に投げ飛ばされた状態だった。
「ぬぁー!」
藤山のことを気にしすぎて、チャリは投げ飛ばしたんだった。
「あぁ、カゴがベコんでるんだけど……」
「ぶっ」
藤山が笑った声が聞こえた。
「ちょっと笑わないでよねっ」
「ごめんって」
そんなことを話しながらマイチャリを起こす。
「…………ねぇ」
「何?」
「一緒行く?……学校」
「!」
藤山からの嬉しいお誘い。
「い、行く!行きます!」
断るわけがない。
まだ時間があるからってことでチャリには乗らず、2人でチャリを押しながら歩いて学校に向かう。
自分たちの周りにも、徒歩やチャリ通の生徒達の姿がチラホラいる。