はじまりはミステイク



「うぅ……」


安心して涙がこぼれた。


嬉し過ぎて涙が溢れた。


「バカぁー。藤山のバカぁ……」


涙を拭いながら藤山の胸に飛び込む。


「頭良いなら私の気持ちに気づいてよ。圭吾くんとのことを応援してるようでしてなかったって何よ。そんなの言ってくれなきゃ分かんないよぉ」


「き、気づくわけないよ。あんなに先輩のこと言ってたから」


オドオドした声が頭上から降ってくる。


「……ごめんね、あまり」


そう言いながら藤山が優しく頭を撫でてくれる。


「許さない。私の気持ち返して」


「返してるよ。俺も同じ気持ちだからね」


う、コイツかなり上手(うわて)だな。


「今度はあの特別なオトモダチ、とかそういうのなしだよ?」


「当たり前だよ。あまりは俺の彼女ってことでいいんだよね?」


彼女……藤山の彼女。


へへ、藤山の彼女。


「ん?ニヤけてるの?」


「に、ニヤけてないっ」



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