はじまりはミステイク
嘘。
嬉しくて頬が上がってるのが分かる。自分の口元がニヤけてるのが分かる。
「女友達とか言われても怒る時があるかもしれないから」
「それ妬くってことだよね?」
「あっ、あとはその部活が休みの時には、たまにでいいからデートしたい」
「もちろん。またあのバッティング見せてね」
藤山とのこれからがある。
それを考えるだけでも幸せだ。
「……よかった」
思いを伝えてよかった。
藤山の気持ちも聞けてよかった。
「って、あ!ヤバイよ」
「?」
藤山が慌ててチャリに飛び乗る。
「学校間に合わないかもしれない」
そう言って、先にチャリをこいで行きやがった藤山。私もケータイの画面をチェックすると、8時23分の数字が目に入った。
「は!?嘘!?」
すぐさまチャリに飛び乗り、藤山の背中を追いかける。
「あんにゃろー!彼女を置いていくなんてありえない!卑怯だ!バカやろーっ!」
そんなことを叫びながら。