はじまりはミステイク



嘘。


嬉しくて頬が上がってるのが分かる。自分の口元がニヤけてるのが分かる。


「女友達とか言われても怒る時があるかもしれないから」


「それ妬くってことだよね?」


「あっ、あとはその部活が休みの時には、たまにでいいからデートしたい」


「もちろん。またあのバッティング見せてね」


藤山とのこれからがある。


それを考えるだけでも幸せだ。


「……よかった」


思いを伝えてよかった。


藤山の気持ちも聞けてよかった。


「って、あ!ヤバイよ」


「?」


藤山が慌ててチャリに飛び乗る。


「学校間に合わないかもしれない」


そう言って、先にチャリをこいで行きやがった藤山。私もケータイの画面をチェックすると、8時23分の数字が目に入った。


「は!?嘘!?」


すぐさまチャリに飛び乗り、藤山の背中を追いかける。


「あんにゃろー!彼女を置いていくなんてありえない!卑怯だ!バカやろーっ!」


そんなことを叫びながら。



< 241 / 246 >

この作品をシェア

pagetop