はじまりはミステイク
「な、何とか間に合った……」
寒さなど忘れて、ただただ藤山の背中を追いかけて到着した学校。髪は乱れ、額にもうっすら汗をかいたまま教室の席へ着いた。
クラスメートは読書タイム。朝読書の取り組みがあるうちの高校は、朝礼前に読書時間が設けられているのだ。
「寝坊?」
最近あった席替えで席が隣になった一華ちゃんがコソッと話しかけてきた。
そんな彼女に首を振って、笑顔でVサインをして彼女を見る。
「……どういうこと?」
「付き合うことになった」
「!?」
ガタッ
すると、ビックリした一華ちゃんは立ち上がった。周りの生徒が一斉にこちらを見て、一華ちゃんはそそくさとイスに座る。
「え?なんで?どういうこと?」
コソッと聞いてくるけど、一言じゃ伝えられないから後でと返した。
朝読書の後、1時間目が始まるまでの休み時間、私は一華ちゃんに抱きついた。