はじまりはミステイク



「私事に巻き込んでしまい申し訳ない」


「逆に俺にも好都合だから気にしないで」


そう言って、藤山が右手を差し出す。


「じゃあ、しばらくは仮だとしても俺の彼女ってことで」


右手で藤山の手を握り返す。


「私こそ、彼氏お願いします」


目が合うとドキドキするけど、どうしても笑みがこぼれる。


「ていうか、聞いていい?藤山って圭吾くんとどういう関係?」


「中学の先輩」


「そうなの!?」


「ついでに言うと、中学の剣道部の先輩」


「え!圭吾くん剣道してたの!?知らなかった」


「圭吾先輩に憧れて、この高校受験したっていうのも受験の理由の1つ」


うっそ、マジで?


「藤山、恋愛対象が男だから、彼女いないとかじゃないよね?」


「ねぇ、どうしたらそういう考えに行くの?」


「ちょっとそういう考えがよぎったので」


もしかしたら、圭吾くんラブ……とかさ。


「ないから」


その一言で藤山が男好き疑惑は止めとした。



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