はじまりはミステイク
「気をつけて帰ってね。寄り道しないこと」
「ちょっとー!私の方が年上!藤山こそ迷子にならないでね」
そして、藤山と別れてお互いの家路へ向かった。
藤山と付き合い始めて、初めて足取りが軽く感じる。
今日のデート、すごく楽しかった。
オムライスを食べて、バッティングセンターでかっ飛ばして……本当のことを話して。
私のワガママに付き合ってもらってるっていうのに、藤山は優し過ぎるんだよ。
でも、藤山が彼女がいないことを冷やかされなくなるためになったなら、それはそれでいい。
♪〜♪〜♪
ラインの通知音が鳴る。
【言い忘れてた。帰りながら泣かないでよ】
藤山からだ。
告白が嘘だって話した時に涙ぐんじゃったから、気にかけてくれたのかな。
「そんなにいつでも泣きませんよーだっ」
友達以上、恋人未満の特別なオトモダチ。
これはきっと、藤山じゃなきゃ成立しなかった関係。
この不思議な関係を……喜んでもいいのかな?