はじまりはミステイク
そういえば、圭吾くんの練習風景は見たことなかったなぁ。まず、遅くまで学校にの 残ることが少ないから、こうやって圭吾くんのギターを聴くのは珍しいのだ。
「この曲知ってるー」
ふむふむと聴きながら、思い出していたのは去年の文化祭。
『カッコイイ……』
文化祭でバンド演奏があったんだけどさ、その時に先輩達とグループ結成して、ギターを弾く圭吾くんを初めて見たんだ。
そりゃ、ワックスで髪立たせてて容姿もカッコよかったけど、演奏の仕方もすごくカッコよくてね。きっと、あの圭吾くんに心を奪われたのは私だけじゃないはずだよ。
『一華ちゃん!あの人カッコイイっ』
『どれどれ?あぁ、たしか隣のクラスの子じゃない?』
そこで圭吾くんって名前を知った。
それから、たまたま委員会が一緒になって、話すようになって、今では友達までは昇格したはず。今年もクラスは離れちゃったけど。
ガラッ
と、突然ドアが開いた。ドアにもたれていた私はバランスを崩す。