はじまりはミステイク
藤山には聞かない。これも私のプライド。それから私は、頭をフル稼働させてなんとか難問を突破したのだった。
「あまりお疲れ」
「はは、藤山勉強した?」
「一通り範囲は通ったから、苦手科目だけ目を通した」
「ねぇ、もしかしなくても頭良い?」
「1年の頃のあまりよりはいいかもしれないね」
ガーン。
「ほら、荷物片付けて帰るよ」
「あ、うん」
「ねぇ、藤山。一緒に帰るの初めてだね」
「言われてみればそうだね」
お互いチャリ通の私達は、チャリを押しながら正門を抜ける。夕焼け色の空が私達を見守っていた。
「あ!もしや、一華ちゃんはわざと2人きりにしてくれたのかな?」
「今気づいたの?」
「藤山は気づいてたの?」
「何となくね」
一華ちゃんよ、私は良き友を持ったもんだ。
「チャリ乗ろっか」
藤山の言葉を合図に、お互いのチャリに乗りチャリをこぐ。
「藤山もこっち方向?」
「うん。東町」
「途中まで一緒だね。私南町だよ」
藤山と帰ってるなんて変な感じだし、ソワソワするなぁ。