はじまりはミステイク



藤山の試合当日。


「一華ちゃんっ、あれが藤山かな?」


「えー?あれじゃないの?」


私は試合がある体育館の2階から、一華ちゃんと藤山の姿を探していた。


「まず、うちの高校がどこにいるかも分かんなくない?」


「藤山あそこだよ、ほら」


え?


声の主は私でも一華ちゃんでもない。


「け、圭吾くん!?」


なぜか圭吾くんが来ていたのだ。急に胸がドキドキいってるんですけど。


「おっす。知り合いが何人か出てるから来たとこなんだよ」


にこっと笑う圭吾くん。


「俺達も隣いいか?」


「どうぞどうぞ」


圭吾くんはあと2人の友達と来ていたみたいだ。


「…………こりゃ複雑だな」


「え?一華ちゃん何か言った?」


「んーん、別に」


気のせい?そう思いながら、やっと見つけた藤山の姿を目で追う。


本当、姿格好しか分からないけど……藤山だ。


なんだ、藤山の奴。剣道着姿……カッコ良く見えるんだけど。


目をゴシゴシするも、藤山は藤山だ。



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