はじまりはミステイク
「まりりん、試合始まるね」
「うん。藤山どんな試合するんだろー」
団体戦に出るらしい藤山の順番は3番目らしい。中堅って言うんだって(圭吾くん情報)。
1人目、2人目と試合を終える。引き分けの状態でついに藤山の出番がきた。
私まで緊張してきたよ。
藤山が立ち上がって、前に出てくる。すると藤山が少しだけ顔を上げた。
私達の立ち位置としては、藤山の正面から斜め上にいる感じだ。
「蹲踞」
あれ、今のってこっち見てくれたの?
「はじめ!」
ダンッ!
床を蹴り上げる音と共に、2本の竹刀が交わりあった。こ、これが剣道の試合なんだ。
バシィッ、バシィッ!
痛々しい音が鳴り響く。他にも同時進行で試合は行われているけど、私には藤山の試合の音しか聞こえなかった。
「こて!めーんっ!」
バシバシンッ!
「1本!」
旗が藤山へ上がる。
「天木、藤山が勝ったぞ」
圭吾くんの言葉を聞き笑顔が溢れた。