はじまりはミステイク
「藤山の奴め、後悔するがいい!」
独り言を呟いてから、花火大会のヘアスタイルを考えたりと頭の中は花火大会のことでいっぱいになった。
そして、夕方。
「ね!どう?髪型おかしくない?」
「大丈夫」
「浴衣姿可愛く見える?」
「浴衣は可愛く見える」
鏡の前で全身を最終チェックする私に、姉である紗枝(さえ)ちゃんが返答する。浴衣は紗枝ちゃんのもの。紺色の生地に薄ピンクの花が咲いている浴衣なのだ。
「ちょっとー!私は!?私も可愛く見えるでしょ?」
「いいから早く行くよ」
そう言って、慌てて家を飛び出して紗枝ちゃんの車へ乗り込む。紗枝ちゃんの車がゆっくり発進する。
紗枝ちゃんは大学2年生。車の免許を持っているから、たまにこうして乗せてもらう時があるのだ。
「紗枝ちゃんは花火大会行かないの?」
「後で行くよ。彼氏が迎えに来てくれんの」
ふっと笑う紗枝ちゃん。
「いいのぉ〜」
「茉利も彼氏と行くんじゃないの?」