はじまりはミステイク
「一華ちゃん達も食べるー?」
だから、藤山にはちょっと怒ったけど、でも感謝してる……かな。
圭吾くんは片思いの相手、だしね。
「おー始まったな」
屋台で食べたい物を買い占めた私達は、河岸の階段に腰を下ろした。圭吾くん情報だと、ココから花火を見るにはベストな場所らしく、この場所をチョイス。それがまた絶好の場所だった。
夜空に浮かぶ花火たち。時にはニコニコマークや星型が舞い上がる。
ふと、藤山のことが頭に浮かんだ。
藤山も家から見てるのかな。冷えピタ貼ってタオルを羽織って、1人でぼんやり眺めてるのかな?
ふふっ、想像したら笑えてきちゃった。
「何か面白いことあった?」
私の隣に座っていた圭吾くんが尋ねる。
「ちょっと、ね」
いけないいけない。今は花火大会に来てるんだから、藤山のことはそっちのけーっと。
「藤山のこと考えてたのか?」
と、思った矢先に圭吾くんからの言葉。