はじまりはミステイク



それでも、藤山の姿を見たい。


藤山に、会いたい。





「はぁっはぁっ、あったぁ」


表札が藤山、の家を発見。すぐさまインターホンを……と思ったけど、もし違う人ん家だったら、という考えが浮かび押さずに手を引く。


とりあえず藤山に連絡しよう。ラインよりも電話の手段をとった私は藤山へ電話をかけた。


朝の電話っきり藤山には連絡を入れていないけど、今はそんなこと気にしている場合じゃない。


『……もしもし』


何コールか鳴った後、聞こえた藤山の声。


「や、やぁ。具合はどうだい?」


妙に緊張して言葉が出ず、裏返った声で体調のことを尋ねた私。


『朝よりはマシになった』


「そ、そうかそうか。それならよろしい」


まるで校長先生みたいな話し方になる。しっかりしろー私っ。


『花火は?まだ終わってないでしょ?』


花火大会のことを気にする藤山。



< 84 / 246 >

この作品をシェア

pagetop