はじまりはミステイク



「ねぇ、まだ花火やってるから一緒に見ようっ」


「え、でも俺」


「玄関って失礼になるかな?ココに座っ」


「あっちの方が見えやすい。そっちに行こう」


藤山から手を引かれて、藤山家から少し離れた場所へ連れて行かれた。


辺りは畑、障害物はないから見渡しは最高だ。近くのバス停のベンチに藤山と隣同士で座り、夜空を眺める。


「ほら!花火でっかいでしょー!」


「本当だ。音は聞こえてたけど見てなかったよ」


「せっかく近い場所なのに勿体無いなぁ」


「あ。あれハートだね」


「ハート!?本当だ!あー撮り逃した」


私達2人だけの声が夜道に響く。


「……ねぇ、藤山」


「ん?」


「何か思わない?」


「?……あぁ、化粧して髪もアップして、浴衣も着てる。いつもと別人みたいってこと?」


平然として言う彼。


「ふ、フツーのリアクションだね。こうさ、ドキドキムラムラする!とかない?」


「別に今のところは」


ガーン!!



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