はじまりはミステイク
「ちょっ、何してんの!」
「え?ダメだった?」
だ、ダメも何も……。これでいいか、と差し出された藤山のケータイの画面には、私と一華ちゃんのプリ画が待ち受けとなっていた。
「いや、これはやめよう!やめやめっ」
「なんで?」
「恥ずかしいっ。それに、これじゃ2人とも好きみたいな感じじゃん」
二股疑惑を持たれても困る。
「それもそっか。じゃ、あまりだけに設定するね」
「えぇ!?」
「しーっ。あんまり声大きいと近所迷惑になるよ」
しまった、いつものようについ大声で話してしまった。ここは夜道、静かにせねば。
「あー、あと1つ気になったことがあるんだけど」
ケータイをいじる藤山に言う。彼は……さっきのプリ画を加工中だ。
「なんで圭吾くんと花火大会に行かせたの?」
藤山の手が止まる。
「……分かるでしょ」
「分からないから聞いてるの」
藤山がケータイをポケットにしまう。
「だって、あまりは圭吾先輩が好きでしょ」