はじまりはミステイク
「藤山とは大丈夫だったの?」
コソッと尋ねる一華ちゃんに、私はコクコク頷く。よかった、と彼女は笑顔をこぼした。
「じゃあ、藤山お大事にな?」
「薬飲めよ」
「ありがとうございます。早く治します」
圭吾くんと竜くんの言葉に頭を下げる藤山を見て、先輩後輩ってことに気づいた。
「じゃあ、またね!藤山っ」
藤山に手を振って、私も一華ちゃん達と並んで歩き始めた。
ヴーヴー
ポケットに入れていたケータイのバイブが鳴る。すぐさま取り出して確認すると、藤山からだった。
【来てくれてありがとう。気をつけて】
口で言えばいいのに。そう思っていると、続けて新着ラインが届いた。
【浴衣姿似合ってるよ】
振り返ると、もう藤山は背を向けて家路へ向かっていた。
変だな。おかしいな、私の心臓。
圭吾くんに褒められた時より、ドキドキしてるよ。