愛されることを知らない孤独なお姫様
「私と秋の姉、希望とは親友なの。」

「「っ!!!」」

「希望は確かに他界してしまった。」

「なんで他界したんだ?」

みんなが思っているだろう疑問を誰かがポツリと漏らした

「耐えられなかったのよ。」

「耐えられなかった...?」

「希望は愛されていた、誰からも好かれる人だったの。でも秋は愛されなかった。両親からも愛の一つさえ分けてもらえなかったの。
世話はメイドに任せっきりだった。って希望が言っていた。

秋を唯一愛してくれたのは希望だけ。
そして希望にとって一番大切なものは秋。
妹のことが可愛くてたまらないって言ってた。」

「「「...。」」」


いつの間にかひとりひとり真剣に話に耳を傾けていた

それほど秋はもう、仲間として受け入れられいた

「ある日、希望は突然姿を消した。

その次の日の夜。
橘家の近くにある湖で希望の遺体が発見された。

ここからは私の予想なんだけど...。

きっと次は秋が愛されるように自分の身を投げたんじゃないかと思うの。
誰よりも大切な妹のために。

希望がいなくなる前に私に電話が来てね、こう言ったの。

私の妹に何かあったときは助けてあげてほしい。
妹には自分の好きな道を歩んで欲しい。
一人の女として恋をして欲しい。
秋には...笑顔でいて欲しい...。

最初は秋という子が誰なのかわからなかったけど、この族にきてすぐにわかった。

とっても優しくて希望に似ていた。

もしかすると、秋が家に戻ればもうここには戻ってこれないかもしれない。
希望がいなくなった今、後継者はあの子しかいないから。

私は秋ともっと一緒にいたい。
希望が大切にしてきた子だもん。
助けに行かなきゃ。」

「光輝はこの話知ってたのか?」

「秋ちゃんが来た日、詩織里に話してもらったよ」

「そうか。なにか策はあるのか?」

「今、考えてるよ...。」

「俺に任せてくれねぇか?」

「陸斗...?」

「俺に策がある。」


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