愛されることを知らない孤独なお姫様

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「ね、ねぇ!」


「ん?」


「なんか遠くからサイレン聞こえない!?」


「さつだろ。」


「さつって警察のこと!?」


「ビビってんのか?」


「ビビルも何も普通ビビるでしょ!!!」


警察って捕まっちゃうじゃん
どうすんのさ!?


「桜華なめんじゃねぇよ」


そ、そんなこと言われたって...


警察ですよ?危ないじゃないですか!


「絶対捕まんないでよ?ほんとお願いだから」


「あたりめーだろ」



そういうふうに言う陸斗はとても楽しそうだった。


「お前って結構取り乱す時あんだな(笑)」


「それは、私だって人間だし。」


「いっつもすました顔してんじゃん。
笑った顔見たことねーよ
ま、取り乱すところは見れたけどな。」



「私だって取り乱すことはあるよ!
笑うことは...これから先あるのかな...?」


「あ?なんか言ったか?」



最後の方は小さい声で言ったから聞かれなかった。
彼女がつぶやいた言葉は誰にも拾われず風と共に消えていく。

気づけば自分たちの住む街へ帰ってきていた。


「な、なんでもない!
あっ...」


思わず息を飲んだ。


「綺麗...」


「もうそんな時間か。朝日だな。」



夜と朝が交わった光


目を奪われた。


気づけば警察のサイレンも聞こえなくなっていた。



静かな朝だった


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