愛されることを知らない孤独なお姫様
「それで、話したいことって?」

「私は、この家をでたいです。」

「何故?」

「大切な人たちができたからです。」

「それは家を捨てるほど大切な人たちなの?」

「はい。私にとって一番大切な人たちです。」

「そう。でもね、家を捨てる事は許さないわ。」

「後継者が私しかいないからですか。」

お母様はいつもそう

昔から後継者のためだと言って私を縛り付けてきた

トントン

「お客様困りますっ!」

「面会のごようでしたらアポをとってから...」

「どちら様?」

ガチャ

「黒崎陸斗というものです。」

「りく...と...?」

なんで?
なんで陸斗がここにいるの?

「秋さんとお付き合いさせていただいてます。」

「秋と?」

「はい。」

「秋、こちらがあなたの言う大切な人たちの1人かしら?」

「はい。大切な人たちの中で一番大切な人です。」

「そう...。」

お母様はそれっきり何かを考えるように無言だった

「秋...。外には秋の知らない危険な人たちが沢山いるの。だから秋を外に出すわけには行かない。」

「でもっ...」

「これだけはだめ。ただ...」

「ただ...?」

「黒崎くんは黒崎財閥の三男よね?」

「はい。」

「あなたたちは許嫁同士なのよ。」

「「は...?」」

「だから交際は認めるわ。黒崎くんには婿養子としてこちらに来てもらう。それでいいなら二人のことを認めます。」

「陸斗...?」

「俺は秋と交際を続けます。」

「そう...。秋」

「はい...。」

「あなたは前よりも習い事が多くなる。そのかわり、自由時間も増やすようにするわ。外に出る時は一言断ってから。必ず黒崎くんやSPたちを連れていきなさい。一人で出かけるのは許しません。」

「わかり...ました...。」

理解が追いつかないんだけど...

良い方向に話は進んだんだよね?

結局私はここの後継者となることになってしまったけど

大切な人と一緒にいられないのに比べたら...

「それにしても陸斗はなんでここにいるの?」
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