愛されることを知らない孤独なお姫様
「これからも、秋のことをよろしくね」

「はい。」

「私が与えられなかった愛情や優しさ、たくさんのことを教えてあげて欲しいの」

私があげられなかったものをこの子ならきっとあげることができる

「はい。」

「君が黒崎くんかい?」

「あなた...。」

「黒崎陸斗です。」

「君は秋をどう思ってるんだい?」

「秋は、とても純粋で傷つきやすい子です。だけど、その分人の痛みを知っています。優しくて仲間思いでよく笑う子です。」

私たちの知らなかった秋をこの子は知っている

それはきっと、秋がこの子たちに心を開いているという証

「そうか...。これからも秋を頼むよ」

私たちは秋へ酷いことをした

愛情を与えられなかった

だけど黒崎くんたちに出会えて良かった

この子達ならこれからも秋を大切にしてくれるから

私たちはお互いに微笑みあった

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