愛されることを知らない孤独なお姫様
「秋...。待ってろ。」

陸斗は私にそう言った後物凄い形相で総長を睨みつけた

気づいた時には私を触っていた男達は立ち上がり戦闘態勢に入っていた


「秋...。」

「詩緒里!?」

「しっ...。今縄解くから」

突然背後に詩緒里が現れた

「なんで来たの?危ないじゃない」

「助けるって約束したし秋は大切な仲間だから」

そう言いながら笑った詩緒里の顔や身体にはいくつか傷跡ができていた

「誰にやられた?」

確か出ていった時には無かった

やられたとしたら解放された後

「外に出たら待ち伏せされててそこで...」

「あいつら...。」

「でもすぐに皆が来てくれたから大丈夫。秋も助けられて良かった...。」

「詩緒里...」

怖かったよね
痛かったよね

詩緒里は声を押し殺しながら涙を流した

「詩緒里、あなたが今泣くべきところは光輝の胸の中だよ。」

「うっ...ん。」

「この戦いが終わったら思いっきり抱きしめてもらいなね?」

「うんっ」

「秋っ!!!」

「詩緒里っ!!!」

突然陸斗と光輝の声がこだました

「っ!!!」

反射して後ろを振り返ると男がナイフを持ってこっちに走ってきた

縄はもう解けてる

焦るな...落ち着け...。

相手の動きをしっかり見て...相手の力を利用して...

詩緒里に心の中で謝りながら後ろへ突き飛ばしナイフを避け男の勢いを利用しはね上げた

ドスンッ

「うがぁッ...」

鈍い音が響き渡り呻き声が聞こえた
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