愛されることを知らない孤独なお姫様
「次、桜華にいつくんの?」


「いつに...なるかな」


自分の人生は自分で決めるとか言ったけど、あのSPたちをどうしろと...?



ザワザワ


急に周りがザワザワしはじめた。


私は息をのんだ


「お母...さ...ま?」


「お前の母親か?」


「なんで今さら...」


「挨拶しに行かねぇのか?」


「会いたくない。」


顔を見れて嬉しいはずなのに、帰ってきて嬉しいはずなのに何故か


嬉しくない


不意に母と目が合う


「っ...!!!」


母はこちらへ歩いてくる


「お前のお母さんこっち来んぞ?」



その場を離れたいのに、足が動いてくれない


もたもたしているうちに母が目の前に来てしまった



「お久しぶりね。秋」


「お久しぶりです。お母様。」


「執事の山本さんにいろいろお聞きして帰ってきたの。
何かとご迷惑をおかけしたらしいけど?」


「お母様...。私はもうあの家に居ることに疲れました。」


今、陸斗が近くにいるうちに言ってしまおうと思った。


私ひとりでは勇気が出なくてこの人に太刀打ちすることはできない


でも、陸斗がそばにいてくれるだけで勇気が湧いてくる



「それは反抗期よ。それも過ぎれば大丈夫よ。馬鹿なことは言わないでちょーだい。」


「確かにそうかもしれませんが、私はあの家に戻りたいとは思いません。」


「橘家の人間が何を言うんですか!橘家の人間として誇りを持ちなさい。」


「私は好きで橘家に生まれたわけじゃないっ!!!」


初めて、母に声を上げた


「何を言っているんですか?」


「私はお姉様の代わりの人間じゃない!私には私の意思がある。
愛のない場所で孤独に過ごす私の気持ちわかりますか!?
私はもう、あの家には戻りません。
さようなら。」


初めて、母の命令に背いた


私はパーティーを抜け出すためここを出る



あぁ...。
これからどうしよう。


住む家もお金も全て失った


でも後悔はしてない。



ブロロロロロブロンブロン


その時バイクが目の前で止まった


「乗れ」


「陸斗っ!!!」


陸斗がそばにいるだけで、さっきまでの緊張の糸が緩まる。


「うんっ!!!」


笑顔で返事をした

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