セトモノのココロ
純子
朝からスマホが鳴って、純子は少し苛立ちを覚えた。
娘の穂花は1時間も前に学校に向かったのに、高校を留年した息子の弘がまだ寝ていたからだ。

息子をめぐって、昨晩も夫と口論したばかりだ。
衣料品を扱う店の店長の純子には、夫の稼ぎのせいで、自分が平日しか休めない仕事をさせられているという気持ちが前に出て、毎度激しい言い合いになる。

そんな中、弘の留年は、精神的にも、経済的にも痛手だ。

また純子の携帯が鳴る。

・・・やはり恵里香だ。

今日は仕事が終わってからだと言ったのに!

20年ぶりの同窓会なのに・・・冴えない気持ちで支度を始めた。
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