記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「へー、お前正気か?こんな、女なんか庇っちゃって」
ーポンッ
そう言った男の子が、私の肩に手を置いた、その瞬間ー。
バッと景色がセピア色に染まり、外から白いタイルのある部屋と場面が変わる。
ーポチャンッ……。
水滴が落ちる音と、少しひんやりとした空気に、まとわりつくような湿った空間。
たくさんある個室と、便器を見て確信する。
ここは……男子トイレの中だ!!
これは……一体どうして、こんな記憶を……。
そんな事を考えていると、ズシャッと、地面を何かが勢いよく滑っていった。
な、何っ!?
慌てて滑っていったモノを確認すると、私は目を見張った。
そこにいたのは……。
『おい、茂木、お前、頭イカれてんじゃねーの?』
『………っ』
そう、そこにいたのは、源先輩だった。
白いYシャツは軽く汚れ、腕まくりをしていたせいか、少し腕を擦りむいていた。
そして、あの赤茶色の男の子が、源先輩を突き飛ばしたんだと、すぐに悟った。