記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


『お前は人殺し、生きてちゃいけねぇの』


ーポタンッ

蛇口が絞まり、源先輩は寒いのか、体をガタガタと震わせて座り込んでいる。


『君も人殺しになる』


『はぁ?何言ってんだ、お前』


『すぐに……分かるよ、梶 航平……っ』


震える源先輩に手を伸ばすと、スッと手がすり抜ける。

どうして、源先輩っ……。


そして、またガラッと世界が変わる。

最初に感じたのは、眩しい茜色の日差し。

そして、いくつも並ぶ木の机に、今度は教室にいるのだと分かった。


ここは………教室だ、どうしてこんなとこに…?


『ううっ……ふっ』


傍にいたはずの源先輩は消えて、今度は、教室で泣いている秋乃先輩がいた。


秋乃……先輩……?


見ると、床に教科書が散らばっている。


その教科書に大きく黒いマジックで書かれた、『人殺しの彼女』の文字。


その上に手をついて、秋乃先輩は泣いていた。




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