記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


嫌……。

私は、私はどうして何も出来ないのっ!!

ギリッと奥歯を噛み締めて、拳を握りしめる。


耳を塞いで、目を閉じてしまえたらいいのに、記憶は私に残酷にも全てを見せようとする。


「い………や……」


「静月、静月っ!!」


「っ!!」


名前を呼ばれて、私はようやく、我に返る。

世界に彩りが戻り、私の肩を掴む蒼大先輩の顔を見た途端、私はたまらなくなって、泣き出した。


「うっ……ふぅっ、あぁっ……」


私は、2人を前に、何も出来なかった、何も……出来なかったっ!!


涙は、ボロボロと流れて、言葉が出ない。

蒼大先輩の顔が歪んで見えなくなるくらいに涙が溢れて、止まらない。




「静月っ、お前、何を見たんだ?こんな風になるなんて、今までは無かったろっ」


「っ……うぅっ」


蒼大先輩が、強く抱き締めてくれる。

その胸にすがりつくように、しがみついた。





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