記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


「何だ、お前の彼女ノイローゼか?」


「黙れよ、さっさと俺たちの前からいなくなれ!!」


「チッ……また会おうぜぇ、化け物」


梶 航平は、そう皮肉を言って私たちから離れて行く。


私は、ただ蒼大先輩の胸で泣き続けた。


自分がイジメられるより、それを見ている方が辛い。


2人の苦しむ声が、頭から離れないっ……離れて、くれない。



「静月っ、静月……大丈夫だから、な?」


「っ……ふぅっ、うぅっ」


「静月……っ、クソッ何で俺はっ…何もしてやれねぇんだ!!こんなっ……静月は苦しんでるのにっ…ごめん、ごめんな静月っ」


蒼大先輩が、私を強く強く抱き締めてくれる。


私はしばらく、その場から動く事が出来なかった。


……私は、なんて無力なんだろう。


源先輩っ、秋乃先輩っ……。


私が見た彼等は、過去の産物。


それでも、私はそれを過去だからって、終わった事だからって、割りきれない。



「大丈夫、大丈夫だからなっ」


蒼大先輩は、何度もそう言って、まるで、何かから守ってくれるように、強く抱き締めてくれた。




< 126 / 279 >

この作品をシェア

pagetop