記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「何だ、お前の彼女ノイローゼか?」
「黙れよ、さっさと俺たちの前からいなくなれ!!」
「チッ……また会おうぜぇ、化け物」
梶 航平は、そう皮肉を言って私たちから離れて行く。
私は、ただ蒼大先輩の胸で泣き続けた。
自分がイジメられるより、それを見ている方が辛い。
2人の苦しむ声が、頭から離れないっ……離れて、くれない。
「静月っ、静月……大丈夫だから、な?」
「っ……ふぅっ、うぅっ」
「静月……っ、クソッ何で俺はっ…何もしてやれねぇんだ!!こんなっ……静月は苦しんでるのにっ…ごめん、ごめんな静月っ」
蒼大先輩が、私を強く強く抱き締めてくれる。
私はしばらく、その場から動く事が出来なかった。
……私は、なんて無力なんだろう。
源先輩っ、秋乃先輩っ……。
私が見た彼等は、過去の産物。
それでも、私はそれを過去だからって、終わった事だからって、割りきれない。
「大丈夫、大丈夫だからなっ」
蒼大先輩は、何度もそう言って、まるで、何かから守ってくれるように、強く抱き締めてくれた。