記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


「梶先輩の事、許せませんか……?」


「っ……悪い、静月には、俺のこういうドロドロした気持ち、知られたくないって思ったけど……やっぱ、無理だな」


自嘲的な笑みを浮かべる蒼大先輩に、私はフルフルと首を横に振った。


「みんな、心に持ってるモノです」


たくさんの感情に触れてきたからこそ分かる。


人と違うものも差別して、人より特別な人を妬んで……理由も数多、世界なんてほとんどがこんな感情に溢れてる。


蒼大先輩は、綺麗すぎるくらいだと、私は思う。


蒼大先輩の言うドロドロした気持ちを抱えてもなお、何が正しいのかを探そうとするから。


「梶に、もう一度会いに行く…」

「一緒に、行きます」


蒼大先輩に寄り添うと、蒼大先輩は優しい眼差しで、私を見つめた。


「静月、今日の記憶、辛かったろ」

「え……?」


唐突だったので、私は驚きで、蒼大先輩の顔をマジマジと見つめてしまう。







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