記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「人が死ぬ瞬間なんて、ましてやそれを見てた源の事も見てたんだ、辛くないはずがない」
「っ………そう、ですね……」
目の前で、お父さんを亡くした源先輩の事を考えたら、胸が引き裂かれるように痛い。
「ありがとな、静月。俺に出来る事があったら、何でも言ってくれないか?でないと、結構もどかしい」
「もどかしい、ですか?」
「あぁ。静月が辛い時、なにも出来ないのがな……」
「蒼大先輩……」
そんな事、考えてくれてたんだ……。
私が傷つく度に、蒼大先輩も傷ついてるって事だよね。
「なら………」
私は、風に揺れる髪を片手で抑えて、蒼大先輩を見上げた。
「私が記憶に捕らわれた時は、蒼大先輩が引き戻して下さい。いつもみたいに」
「いつもみたいに?」
「蒼大先輩が私を呼び戻してくれるから、私は記憶に捕らわれずに済むんです」
「記憶に捕らわれるって、なんだ?」
「記憶は、思いが強ければ引きずられて、現実に戻れなくなるかもしれない。蒼大先輩は、そんな私の、帰る場所なんですよ」
説明すると、蒼大先輩が息を呑んだ。
そして、私に手を伸ばしたかと思うと、強く抱き寄せられる。