記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


数メートル先に立つ梶先輩を見つめた。

どこか、憂いを帯びているようにも見える梶先輩に、胸が痛んだ。


この人は、源先輩を傷つけた。

間接的にだけど、源先輩の自殺にも関わってるかもしれない。

でも何でだろう……。

梶先輩は、もっと深い……心の闇を持っているように思えて、胸が苦しくて、否定しきれない。



「何か用かよ、化け物」


「……梶先輩、教えてください。梶先輩はどうして、自分を人殺しだと思うんですか」


記憶を見る前に、ちゃんと梶先輩の口から聞きたい。


だって、深い闇、触れられたくない記憶だからこそ、勝手にのぞき見る事は、できない。



「しつけーな!!それ以上何か喋ってみろ、ただじゃおかねーぞ!!」


そう言ってズカズカと私の前までくると、ガシッと胸ぐらを捕まれた。


「っ………」


息が、苦しいっ!!

目に涙を滲ませながら、私は梶先輩の顔を見つめる。


「知ってどうすんだよ、お前まで俺を否定するつもりか!?」


えっ……否定??

梶先輩の言っている意味が分からない。

だけど、何かを誤解してる……?





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