記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


そして今度は、学校の教室に風景が変わると、クラスの端でポツンと座っている梶先輩を見つけた。


梶先輩、黒髪だ……。

人気者というよりは、静かで真面目な雰囲気だった。


それに、もっとクラスでも中心的な存在だと思ってたのに、目の前には一人席に座る梶先輩。


『おい、源!!今日カラオケ行こうぜ』

『だめよ、源くんは秋乃とデートでしょ!』


クラスの皆に囲まれる源先輩は、自殺してしまうなんて、想像も出来ないほどに、明るい笑顔だった。


『そうなんだよ、勘弁してくれ』

『やめてよ源、恥ずかしい』


源先輩を小突く秋乃先輩に、どっと笑いがわく。


『痴話喧嘩は余所でやれよなー!』

『いいなー、私もあんな彼氏ほしい~』


それを微笑ましそうに見守るクラスメート……ただ一人を除いては。





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