記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


『何も持っていない凡人のくせに、どうしてアイツの周りには、人が集まるんだよ……』


えっ……。

小さく、恨み言を呟く梶先輩に、私は目を見開いた。


机の上で握られた拳が、カタカタと震えるほどに、怒りを押し殺しているのが分かる。


『どうしてっ、俺じゃないんだ……』


ードクンッ、ドクンッ!!

ー『憎い』『憎い』『憎い』。


胸の痛みと共に感じる、梶先輩の憎しみ。

それが、源先輩へと一直線に向けられているのに気づいた。


もしかして、梶先輩は、自分より特別な誰かが憎くて……あんな嘘を……。


梶先輩の抱える闇は、私が思う以上に深すぎる。


「静月っ、てめぇ、離れろよ!!」
   

ードカッ!!


えっ………?


突然、頭の中に響く声に、私はハッと我に返ると、胸ぐらを掴んでいた梶先輩が後ろへ吹き飛ぶところだった。


「っ……はぁっ、はぁっ」


ヒューッと気道から音が鳴る。

膝から崩れ落ちそうになった所を、力強い腕に後ろから抱き留められた。





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