記憶の中で生きる君へ、この空に誓う



私は、呼吸を整えて、私のお腹に回った蒼大先輩の腕にそっと、自分の手を添えた。


「先ぱ……ケホッ」 


「静月っ!!」


咳き込む私を心配そうに抱き抱える先輩に、私は安心させるように笑いかけた。


大丈夫です、先輩。

心配してくれて、ありがとうございます。


そう気持ちを込めて微笑むと、蒼大先輩は安心したように小さく息を吐いた。



「梶……先輩、先輩は、源先輩が羨ましかったんですね」

「!!」


私の一言に、目を見張る梶先輩。


「羨ましかったって……どういう意味だ?」


不思議そうな顔をする蒼大先輩に、「記憶を見ました」と説明すると、納得したように頷いた。


「弟さんと比べられて育ってきたからですか?」

「てめぇが、なんでそれを知ってんだよ!!」

「だから、何もしなくても、人気者だった源先輩が……憎くて憎くてたまらなかった」

「てめぇ!!」


また、掴みかかろうとしてくる梶先輩を、蒼大先輩が半場体当たりするように、地面におさえつけた。




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