記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「怪しい者じゃないから、安心して、な?」
ーうん、それも心配してない。
またもや喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
申し訳なさそうな顔をする最上先輩に、私は苦笑いを浮かべる。
「そうじゃなくて……私の事、知らないんですね」
「え……?」
「いいえ、知らないなら、知らないままの方がいいです」
自嘲的な笑みを浮かべて、手に持っていたイヤーカフをグッと握りしめた。
少しでも、最上先輩にときめいた自分を叱ってやりたい。
私は、最上先輩達から見たら、異質で、気持ち悪いだろう。
ときめく事自体、無謀で立場をわきまえてないじゃん。
世の中には、2通りの人間がいるのだと、私は思う。
特別で、みんなに慕われ愛される人間と、特別が異質で、みんなに蔑まれ、孤独な人間。
私は、もちろん後者だ。