記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


『秋乃、卒業したらさ、ずっと俺の傍にいてよ』


『え、それはもちろん……』


『意味分かってる?四六時中って意味だけど』


『っ!!』


その意味を理解した秋乃先輩が、驚きに目を見張り、すぐに顔を真っ赤に染める。


『結婚してくれ、秋乃』


そう言って、秋乃先輩の左手の薬指に銀の指輪をはめた源先輩。


『源……』


『俺、ずっと、ずっと、秋乃に笑っていて欲しい。俺がお日様だって言うなら、秋乃は風だ。俺を守るみたいに、傍でそよいでる、風だ』


『源、ありがとう……っ。私、嬉しくてっ……』


溢れてくる、この温かくて時々熱い気持ち。

これが、『愛』なのかもしれないと思った。



『大好き、源っ……』

『俺も、秋乃が世界で一番、好きだ』


2人を、温かい日差しと優しい風が祝福する。


そして、一つ大きな風が吹いたかと思うと、私は元いた場所、現実へと帰ってくる。





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