記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


ーガタン、ゴトンッ


秋乃先輩の家からの帰り道、夕暮れが窓から差し込む電車の中で、2人言葉無く揺られていた。


なんというか、切なかった。

秋乃先輩は、これからも源先輩を失った痛みと共に前を向いて生きていかなくちゃいけない。


どんなに支えると言っても、埋められないモノもあるのも事実なんだ。


「好きな奴に先立たれるって、どれだけ辛いんだろうな……」


隣に座る蒼大先輩が、ポツリと口を開いた。

私は、頭の中で考えてみる。


私がもし、蒼大先輩に先立たれたら……って、私はどうして蒼大先輩に例えようとしてるんだろう。


慌てて首を振っていると、「どうしたんだ、静月?」と蒼大先輩に心配そうな顔でのぞき込まれた。


「っ!!」


あまりにも近い距離に、私は顔が熱くなるのを感じる。

おかしい……。

何度だってこんな風に胸がザワザワしたのは感じてたけど、これは……。


「好きって気持ち……」


そうだ、好きって気持ち。

あの、秋乃先輩と源先輩から感じた、温かくて時々熱い気持ちと似ている。


私、蒼大先輩に、恋してたんだ……。




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