記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「ダメ……か?」
不安げに尋ねてくる蒼大先輩に、私は慌てて首を横に振る。
「ごめんなさい、びっくりしちゃって……その、すごく嬉しいです!」
「う、嬉しいか……そうか!」
慌てて素直に嬉しいと伝えると、蒼大先輩はまんべんの笑みを浮かべた。
「あのさ、今日も一緒に帰ろうな?」
「あっ……はい!」
いつも、何かの用事がある時に流れで一緒に下校していた。
だけど、今日のは特別だ。
だって、ただ一緒に帰りたくて、一緒に帰るんだから。
「ん!」
そう言って自然と差し出される手に、私も自然と手を重ねる。
そして包まれるように握られる蒼大先輩の手にホッとするのだ。
夏休みも、蒼大先輩の傍にいられる。
私は、私にできることを、蒼大先輩にしてあげたいから、それがすごく、嬉しかった。