記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「声、何度もかけてたんだぞ?大丈夫か、最近暑くなってきたからな、梅雨バテ…みたいな感じか?」
ーーそれはいったいどういう感じなんだ。
心の中で突っ込みつつ、確かに最近暑くなったなと思う。
季節は6月半ば、夏が近づいているせいか、蒸し暑い。
これをどう誤魔化そうかと考えていると、ふとあの悲しげな最上先輩の顔を思い出した。
『何で、俺に何も言わなかったんだよ!!』
『源……源、お前なんで自殺なんてしたんだよ……』
最上先輩は、口を開けばずっと「なんで」と嘆いていた。
もしかして、最上先輩は源先輩が死んだ理由を探している?
だとしたら、私は、源さんの事、黙っててもいいのかな……?
源さんが私に託した物、ここでの会話……。
最上先輩の抱える苦しみから、目を逸らしてもいいの?
「………っ」
最上先輩の顔を見つめると、「ん、どうかしたか?」と心配そうな顔で私を見ている。