記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


あれ、この人はっ!!


横断歩道で、向かいのから横断してくる、40代くらいの、女性、まさにその人だった。


あの、すごく疲れたような、表情に陰がある女性、そして……。


ーズキンッ


「ううっ……」


胸が軋むように痛んで、私は胸を押さえる。

これ…この人の、感情だ。

あの時、横断歩道の中央で、すれ違った時に感じた、痛み!!



「突然すみません、俺は源の……茂木 源くんの友達で……」


ーズキンッ、ズキンッ!!


心臓に何かが突き刺さるような痛みに、蒼大先輩の声が遠くに聞こえた。


ードサッと、膝から崩れ落ちる。


「えっ、静月!?」

「あなた、大丈夫!?」


蒼大先輩と、女の人が私に近づいたのが分かった。


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