記憶の中で生きる君へ、この空に誓う



「最後まで、傍にいられなくてごめん、お袋は家族想いだから、きっと泣くんだろう」


「っ……それは??」


源先輩のお母さんは、目を見開いて私を見つめた。

私は集中する為に、瞳を閉じて、銀のイヤーカフの温かさにだけ意識を向ける。


『無責任だとは思うけど、お袋は俺と親父の分も生きてくれよ』


聞こえるままに言葉にしていく。


『この世界で、ちゃんと幸せになってくれよ』


『育ててくれてありがとう』

『愛してくれてありがとう』

『見守っていてくれてありがとう』


たくさんのありがとうが溢れて、私は涙を流す。

短い、18年分のお母さんへの『ありがとう』だった。


「ありがとうっ……ありがとう、お袋…っ」


「源……源っ……ううっ、傍にいてくれるだけで良かったのよ!!守れなかったなんて、そんな事いいの!!子供を守るのは親なのに、あなたはいつの間にか、私の事までっ」


源先輩の気持ちを伝え終わると、お母さんは泣きながら、私を抱き締めていた。




< 231 / 279 >

この作品をシェア

pagetop