記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「最後まで、傍にいられなくてごめん、お袋は家族想いだから、きっと泣くんだろう」
「っ……それは??」
源先輩のお母さんは、目を見開いて私を見つめた。
私は集中する為に、瞳を閉じて、銀のイヤーカフの温かさにだけ意識を向ける。
『無責任だとは思うけど、お袋は俺と親父の分も生きてくれよ』
聞こえるままに言葉にしていく。
『この世界で、ちゃんと幸せになってくれよ』
『育ててくれてありがとう』
『愛してくれてありがとう』
『見守っていてくれてありがとう』
たくさんのありがとうが溢れて、私は涙を流す。
短い、18年分のお母さんへの『ありがとう』だった。
「ありがとうっ……ありがとう、お袋…っ」
「源……源っ……ううっ、傍にいてくれるだけで良かったのよ!!守れなかったなんて、そんな事いいの!!子供を守るのは親なのに、あなたはいつの間にか、私の事までっ」
源先輩の気持ちを伝え終わると、お母さんは泣きながら、私を抱き締めていた。