記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「この世界で……あなた達のいないこの場所で、生きていかなくてはいけないのね……」
「お母さん……」
「不思議なんだけど、一瞬、あなたが源に見えたの」
そう言って、愛しげに私の頬を撫でる源先輩のお母さんに、私は目を見開く。
「生きろって、言われてる気がしたわ……。こんな姿を見せたら、源に怒られちゃうわね」
そう言って涙を拭うお母さんに、私は笑みを向ける。
「そうです、源先輩に怒られちゃいます」
「ふふっ……そうね。私は、あの子のお母さんだもの、強く生きなくちゃ……」
そう言ったお母さんは、悲しみを抱きながらも、強く前を見つめていた。
「会いに来てくれてありがとう。きっと源が、あなた達を連れてきてくれたのね」
お母さんの言葉に、私と蒼大先輩は顔を見合わせる。
そして、笑みを交わした。
「源は、優しい奴でしたから、俺たちが心配でしょうがないんですよ」
「ふふっ……そうかもしれないわ。ねぇ、あなた達さえ良ければ、また会いにきてちょうだい」
お母さんの言葉に、私たちは「もちろんです」と答えた。
その時のお母さんの笑みを、私たちはきっとずっと忘れないだろう。
だって、それは……源先輩の笑顔に、そっくりだったから。