記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


源先輩の家を出て、私と蒼大先輩は肩を並べてバス停までの道のりを歩く。


すると、「あのな、静月」と蒼大先輩が口を開いた。

私が蒼大先輩を見上げると、蒼大先輩は真剣な瞳で私を見つめている。


蒼大先輩……?

不思議に思っていると、「失ってからじゃ遅いんだ」と言った。


「なんの、事ですか……?」

「静月の家族の事だ」

「!!」


まさか、私の家族の事を言われるとは思っていなくて、私は目を見開く。


そして、つい立ち止まってしまうと、蒼大先輩は向き合うように、私の前に立った。


「俺は、親父が死んで、源のお母さんも、家族を失って……。やっぱり思うのは、あの時こうすれば良かったって後悔なんだよ」

「それは………」


記憶に触れていたから、分かる。

後悔して、それでも変えられない未来に苦しんでた。


あの胸の痛みは、たくさん、源先輩、蒼大先輩、舵先輩、秋乃先輩、源先輩のお母さんの記憶で、十分すぎるほど知った。





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